約 1,746,239 件
https://w.atwiki.jp/terachaosrowa/pages/694.html
ここは地球とは異なる世界。その名もハルキゲニア。 その世界の、トリステイン魔法学校と呼ばれる場所で一人の少女が奮闘していた。 進級試験として使い魔を召還する儀式を行っているのだ。 「所詮ゼロのルイズには無理なんだよ!」 「もう諦めろよw」 「先生、やらせるだけ無駄ですよ!」 幾度の失敗により、少女を囲む子供たちからも不満の声が上がる。 それも当然だろう。失敗による爆発で大なり小なり皆煤を被ってしまっているからだ。 それでも教師らしき禿頭の男は優しく、真剣な目で少女を見守っていた。 「~~~~~~っ!!!」 少女は成功の兆しすら見えないことに怒り悲しんでいた。 周りから馬鹿にされる事には馴れていたが、今は進級が掛かった大事な試験だ。 これに失敗してしまえば魔法学校初の留年という不名誉を負うことになる。 何よりも家名を大事にするトリステインの貴族としては、そんな事になるわけにはいかなかった。 優秀な父母と姉妹に囲まれて育ってきた中、ただ一人の落ちこぼれ。 それが世に広まらないように、薄暗い地方の屋敷辺りにでも閉じ込められてしまうかもしれない。 そういった恐怖に追われながらも弛まぬ努力をしてきたというのに、一向に魔法が使えない。 奇跡でもいい、平民が出てきても構わない。今はただ進級だけがしたかった。 「ミス・ヴァリエール……残念ですが次に失敗してしまえば留年という事にせざるを得ません」 禿頭の教師は沈痛な面持ちで少女―――ルイズ・フランソワーズ・ル・ブランド・ラ・ヴァリエールに告げる。 その言葉にルイズはギリッと歯を食いしばった。 次で終わり。奇跡などそんな易々と起きない事など分かっていた。 今までずーっとゼロと呼ばれ、辛酸を舐め続けたのだから。 だけど最後のチャンスを不意にする事もない。 ルイズは顔に疲労の色を浮かべつつも、目を閉じて呪文を唱える。 「五つの力を司るペンタゴン、我の定めに従いし、使い魔を召喚せよ!」 それを見守る生徒たち。 だが、無常にも結果は変わらなかった。 ただいつにも増して大きい爆発が起こったというだけ。 僅かなりとも期待をしていたルイズは、流石に絶望を隠しきれなかった。 「やっぱり失敗だな、ゼロのル・イ・ズwww」 「ハハハハハ、これでルイズのやつ留年だぜ!」 「まぁ最初から分かってた事だよなー!」 次々と子供たちが悪口と笑い声を発していく。 それは徐々に大きくなり、輪を作る者の殆どがルイズを嘲笑していた。 だけどルイズはそれに何も反論できなかった。 そう、最初から分かりきった結果だったのだ。 失敗しかしない成功率ゼロの少女が、進級試験でサモン・サーヴァントでの召還を成功できる訳がない。 進級など、夢のまた夢だと。 悔しさに涙が流れてくる。 その雰囲気を察して、禿頭の教師・コルベールはかける言葉も見つからなかった。 彼はルイズが普段どれほどの努力をしているのかを知っていた。 魔法が使えずに実技が駄目なため、一生懸命に歴史などといった筆記の方にも力をいれている事を。 なんとか進級をさせてあげたい、と心の底から思うほどに。 だがこの春の使い魔召還の儀式は、とても神聖なもの。 一教師であるコルベールの一存でそんな事は決められないし、上に掛け合っても無駄だろう。 それに生徒に対して平等であるべきの教師がこんな事ではいけない。 コルベールは涙を呑んでルイズに留年の意を伝えようとする。 その時、爆発により近くすら見えなくなるほど上がっていた粉塵が収まり始め、何かが見えてきたのに気付いた。 未だ粉塵に隠れている現状では何なのかは分からないが、それはとても大きかった。 「ミス・ヴァリエール! 成功ですよ!」 コルベールは喜びの余りそう叫んでから、恥ずかしさからゴホンと咳をした。 そしてあの大きさで暴れられたら危険な事を思い返し、気を引き締める。 あれが召還の異に応じなかった時に命を懸けてでも教え子を守るために。 そして煙は晴れる。 そこには誰にも想像だにしなかったものがいた。 いや、あったというべきか。 何しろそれは生物ですらないからだ。 巨大な一軒の建物がどっしりと佇んでいた。 「ちょwww」 「おまwww」 「うはwww」 「ワロスwww」 生徒達は口々に大爆笑を始める。 笑われているルイズは未だに現状が把握できずにポカーンと建物を見上げて呆けていた。 コルベールも同様である。 長年生きてきて、こんなモノが召還されるなどと言う事は、見たことも聞いた事すらない。 「ルイズ!家なんか召還してどうすんだ!?」 その言葉にルイズは我に返り、咄嗟に言い返す。 「うっ、うるさいわね! 風除けのマリコルヌのくせに! もしかしたら中に誰かいるかもしれないでしょ!」 「風邪っ引きのマリコルヌだ! 違う、風上のマリコルヌだ それに俺は風除けになるほど太っていない!」 コルベールはこの言い合いに、じゃあ太ってる事は認めるんだなぁと現実逃避をしながら、どうするべきか考えていた。 まぁとりあえずルイズの言い分も尤もな事なので、とりあえず中に人がいるか探ろうと思った。 「ではミス・ヴァリエール。中に人がいたら儀式を済ませてきなさい ミスタ・マリコルヌも悪口は見苦しいですよ」 このまま放っておくといつまでも続くと思ったコルベールは、ルイズに指示する事で言い争いを止めた。 そして生徒たちとともに、ルイズが建物の中に入っていくのを再三見守っていた。 ルイズの成功を祈りながら。 ボンッ! ドサッ コロコロ…… 突然の事だった。 生徒達もコルベールも何が起こったのか分からなかった。 ルイズが建物に足を踏み入れた直後、ルイズの首が爆発して飛んだのだ。 地面に転がっているルイズの頭が、死んだ事も分からないように普段と同じ表情をしているのが、やけに滑稽だった。 以後、その建物は入った者の首を飛ばしていく事から悪魔の館と呼ばれ、ハルキゲニアの歴史に名を残す事になる。 【一日目 午後七時/トリステイン魔法学校】 【ジャン・コルベール@ゼロの使い魔】 [状態]:禿げ [装備]:不明 [所持品]:不明 [思考] :ツンデレコンビを掴まえる 1:唖然 【マリコルヌ・ド・グランドプレ@ゼロの使い魔】 [状態]:かぜっぴき、風除け [装備]:不明 [所持品]:不明 [思考] :ツンデレコンビを掴まえる 1:呆然 【ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール@ゼロの使い魔 死亡確認】 [死因]:禁止エリアのニビジムに足を踏み入れたため爆死
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1498.html
「おあ?」 廊下を人が歩く音でセッコは覚醒した。もう朝らしい。 記憶が無いなりに自分の状況を再確認する。 どうもこの今一つ理解できない状況は、夢ではねえようだ。 なんせ目の前のベッドに自分を使い魔?にした女が眠っていやがる。 確か起こせと言っていた気がする。 「起きろぉー、ルイズ起きろ」 ぴくりとも動かねえ、だが息はしてるようだ。 「起きろつってんだろがよおおおお!」 ベッドを思い切り揺らして叩き起こしてやるか。方法は言われなかったし。 「な、なによ!何事?」 「朝だ起きろぉー」 「あー……はいはいおはよう。……あなた誰だっけ?」 記憶喪失って伝染性の病気だったかぁ?んなわけねえよなー? 「セッコ」 「ああ、使い魔ね、昨日呼んだ!」 「頭の病気か。」 「ちょっと寝ぼけてただけよ!あ、ついでに服を着せなさい。」 言うが早いか服一揃いを投げつけられた畜生。 それにしてもどうも逆らう気がしねーのは何故だ? やっぱりこの印になんかあるのか? 「できね。」 「ちゃんとやってくれたら飴ちゃん一個あげるわよ。」 「着せ方が判らねえ。」 「……」 仕方なく自分で服を着るルイズ。 貴族ってのは人前で着替えるのが普通なのかぁ? 全く理解できねー。 「ちょっと早いけど朝ご飯食べに行くわよ。」 そういえば、昨日トリステイン魔法学院?に来てから何も食べてねえ。 「うん、うん。」 ルイズに付いて部屋を出ると、胸のでかい赤髪の女が目の前にいた。 なんだか挑発的な表情をしてやがる。敵? 赤髪はルイズを見るとにやりと笑った。 「おはよう、ルイズ。」 「おはよう、キュルケ。」 ルイズが心底嫌そうにだが挨拶を返している。敵ってほどではねえみたいだ。 「あなたの使い魔って、それ?」 「サモン・サーヴァントで平民を呼ぶなんて、さすが[ゼロのルイズ]ね」 ルイズの表情が険しくなっている。 「うるさいわね!」 そもそもオレを使い魔と呼ぶこと自体どうも腹が立つ。 別の二つ名があった気がするが、思い出せねえ。気にしても仕方ないか。 「どうせ使い魔にするなら、こういうのがいいわよねえ~。フレイム!」 キュルケが勝ち誇って叫ぶと後ろから赤い獣が現れた。 でかいが目が妙に可愛い。 ルイズが今にも暴れ出しそうだ。オレは飯が欲しい。 「ルイズ、飯……」 「わかったわよ!こんなのほっといて先に行きましょ!」 やった、飯が食える。 「ちょっと、この微熱のキュルケ様を無視とは何事よ。」 「朝ご飯が早く食べてえ、後で聞く。」 正直関わりたくねえ。大体使い魔なんて、正体不明のほうが有利なんじゃねえの。 まあ飯だ飯。食堂はもうすぐらしい。 「うおあ、無駄に豪華だなあ」 「無駄は余計よ。貴族が使うんだからこれで普通なの。」 「オレは何を食えばいいんだ」 「それよ。」 指差した先の床にパンとスープの皿が置いてあった。 腹が減っていたので平らげる。甘いもの以外の味はよくわからねえ。 「量が足らね。」 ルイズは困っていた。平民の、しかも使い魔に貴族の食事を与える訳にはいかない。 それに「教育」にも悪そうだ。だが、確かに足りない気もする。 どうせ残す物ならいいかしら? 「少しだけよ。」 鳥の皮とハシバミ草のサラダを渡してやる。 セッコはそれをあっという間に食べてしまった。 この食欲ぐらい役に立ってくれるといいんだけど。 授業があるとかいうので付いていく。こいつ学生だったのか。 偉そうだから先生かと思っちまったぜ。 魔法学院っつーからには魔法を教えたりするのか? とはいえ、ルイズが魔法を使っているとこを見たことが無いのでなんとも言えない。手品かもしれねえし。 「ここよ。」 「オレも授業受けなきゃいけねえの?」 「一応ね、適当に流してていいからその辺の床に座ってなさい」 石の床はなんとなく落ち着く。 それにしても、どうやら魔法学院というのはウソじゃねえらしい。 変な生き物がいっぱいいる。これ全部使い魔か。 「私は赤土のシュヴルーズ……土は・・基礎の…… トライアングル……錬金……だから……その…… スクウェアが……」 授業は全く理解できねえ。諦めて目の前の変な生物をからかって遊ぶ。 目玉お化けも6本足のトカゲも、形以外は普通の動物としか思えねえ。 なんで使い魔が人間だと困るんだぁ? オレならこんな珍獣の部下はこっちから願い下げだ。 と、突然爆発が起こった。こいつが魔法かぁ? 「うわあああ!」 「ゼロのルイズがまたやりやがった!」 どうも失敗らしい。失敗にしてはえらい威力だ。 また爆発があったら嫌なので外に出よ。それがいい。 「セッコ!セェッコ!!」 おかしいわね、あいつどこ行ったのかしら。 「セッコ!」 「なんだ。」 やっと現れた。主人が呼んだらもうちょっと早く来なさいよ。 「掃除を手伝いなさい。」 「わかった。」 やれやれ、なんとか昼までに終わりそう。 けど自分で指名しておいて、失敗したから一人で掃除しろなんて、あのババア今に見てなさいよ。 何とか終わらせて食堂についてみると、テーブルにはデザートのケーキ(の残り物)しかなかった。 甘いものは好きな方だと思う、でも昼食がケーキのみというのは耐え難い。 半分セッコに投げてよこすと大喜びしていた。 ハシバミ草を平気で食うくせに、甘いもの大好きなんて不思議な奴。 セッコがまた何か騒いでいる。優雅な昼休みがぶち壊しだ。黙らせないと。 「オレは悪くねぇ!謝るのはオメーだ!」 「貴様のせいでモンモランシーが!」 「脳みそにカビ生えてるのか?足元に転がってきた物を拾って何が悪りい!」 「貴族に対する礼を知らないのか平民が!」 「オメーのどの部分に貴族の要素があるんだ小便のシミ野郎!!!」 「このギーシュ・ド・グラモンを侮辱したな!決闘だ!」 「望むところだ、ボロ雑巾にしてやるよおおオオオオ!」 「ギーシュもセッコも何やってんのよ!」 「これはこれは[ゼロのルイズ]、君の召喚した無礼な平民にちょっと教育をね。」 「何がゼロですって?!既にあんたの方が無礼よ!大体決闘は禁止されてるでしょう。 何だか知らないけどセッコも謝りなさい!」 「禁止されているのは貴族と貴族の決闘だろう?こいつは平民だ。」 「そうだそうだ!」 「オレが謝る理由がひとつもねーよ!」 既に観衆までヒートアップしていてとても止められそうにない。 「セッコ。」 「何だ。」 「もう勝手にしなさい。でも殺したらダメよ!殺されそうになっても逃げなさいよ!」 「わかった。」 これは多分勝とうと負けようと「わたしが」謹慎だ。勘弁してほしい。 一応主として見届けるべく広場へついていくものの足取りは重い。 To be continued…… 戻る< 目次 続く
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/1056.html
レコン・キスタが王都を完全に包囲して十三時間。降伏勧告は数えて十五度。 この行き詰った状況を打開するため、軍議をしなければならないのだが、厭戦気運はどこにでも満ち溢れていた。 国内は言うに及ばず、王都内、城内、この議場内まで諦念と自棄が蔓延っている。 無理矢理進行役を押し付けられたアニエス殿が促しても発言する者がいない。 ある者は惰眠をむさぼり、楊枝で歯をすする者もいる。 モット伯にいたっては猥褻な本を読みふける始末。誰も進行役の言うことなど聞いてない。 無視、雑談、居眠り、手慰み。決戦を前にした貴族の態度とは思えない。 くそっ、敗北主義者どもめ。アルビオン王党派のように雄雄しく散れとまでは言わないが、もう少し真面目に取り組むべきだ。 ここは他国の長からガツンと言ってもらうべきだな。強く怒鳴りつけられなければ自分達の醜さに気づくまい。 幸いというべきか恥を重ねたというべきか、この軍議にはゲルマニア皇帝アルブレヒト三世が同席している。 彼にガツンと……おかしいな。どこへ行った。さっきまで皇帝が座っていた席には全裸のおっさんしかいない。 ……全裸? あれ? なんでみんなスルーしてるの? ていうかあのおっさんゲルマニア皇帝に似てないか? 目をこすってもう一度見直した。やはり全裸だ。正確には王冠があるため全裸とはいえないかもしれないが。 おかしいな。どうやら頭ないし目が狂っているようだ。私が狂ったのか。そうかそうか。 全裸のアルブレヒト三世が不敵な笑みを浮かべている。全裸の人間に許される笑いではない。 「すっぱだカーニバル!」 ああ、やはり見間違いではなかったようだな。しかし何を叫んでいるんだ。意味がわからない。 「チンは国家なり!」 えっ! ま、まさかこのネタのためだけに脱いだんじゃないだろうな!? 「トリステインとは情けないものだな。余がゲルマニア流を見せてやろう」 むっ。全裸になったことに意味があるとでもいうのか? 「ゲルマニア流の自暴自棄を見せてやろう」 ダメだこいつ……早く何とかしないと。 そうだ、我らが姫殿下がいるではないか。 アンリエッタ様なら婚約者の乱行と貴族達の惰弱さを叱り飛ばしてくれるはずだ。 私はアンリエッタ様に視線を戻した。戻した。戻し……おかしい。アンリエッタ様がいない。 さっきまでアンリエッタ様が座っていた席には、死んだ目を持つ阿婆擦れが一人いるだけだ。服装はアンリエッタ様と同じだが……どういうことだ? 「見てんじゃねェよクソワルドが……」 えっ。あれ。声までアンリエッタ様なんだけど……えっ? あの人アンリエッタ様? 「なめるんじゃないよドチンポ野郎。すぐ裏切りそうな面しやがって」 「あ、いや、あの。すいません。しかしですね、王族がそのような口を……」 「いいんだよ。私は王女なんて言ってるけど実は庶子なんだよ」 「そ、そうなんですか!?」 「か……かまわん! それでも好きだ!」 おおっ、ゲルマニア皇帝がここで絡んできた! 頑張れ、個人的には応援しているぞ! 「私アルビオンのウェールズ皇太子と付き合ってた」 「グフボウッ」 ゲルマニア皇帝吐いたー! 分かる、分かるぞ! 婚約者にこんなこと言われたら私も吐く! 「ウェールズが近づいてきたの見てから湖で水浴び始めました」 「オボッホウッ!」 さらに吐いたー! めっちゃくちゃ吐いたー! これはきっついぞー! 「戦争始めた理由もウェールズの敵討ちです」 「……」 吐い……吐かない! ゲルマニア皇帝これは吐かない! そ、そしてあの笑顔! なんなんだあの人は!? 今何か刺激するポイントがあったのか!? よく分からんが異常に嬉しそうだ! ゲルマニア人は奥が深い! 「盛り上がっているところすいませんが、アンリエッタ様には後ほど兵士達を鼓舞するため演説を……」 「誰がするかそんなメンドーなこと勝手に戦って勝手に死ねやゴミ虫どもが」 「……してもらえません。すいません」 アニエス殿……どこまでも不憫な女性だ。 「そんな! 演説にさりげなく婚約者ののろけを混ぜてもらおうと思ってたのに!」 皇帝陛下……あんた強いよ。変態だけど。 「それが楽しみできたというのに……なあアンリエッタ殿、個人的でもかまわぬから後でブグラバァァァッ!」 ウッヒャ――ッ、潰れた! あれは確実に潰れた音がした! 自分の婚約者で同盟軍の長でもあるゲルマニア皇帝にまさかの金的蹴り――! 「ふふ……ふ」 この人潰されて笑ってるー! だ、ダメだ! 変態とかそういう次元じゃない! すっぱだかの時点で気付くべきだった! 見ているだけで疲れた……。視線を落とすと、絨毯の上に豪奢な装飾のなされた杖が落ちている。あれはたしか……。 「ド・ポワチエ元帥、あれはあなたの元帥杖ではありませんか」 「……そうだな」 「どうされたのです。あれほど大切になさっていたのに」 「いや……なんかキモいし」 どんな理由だよ? 「それにあの杖持ってると味方の不意打ちで殺されそうな気がするんだよね~」 するんだよね~……じゃないだろ。クソッ、ダメだこのおっさん。 ここはトリステイン影の実力者と呼ばれるあの方に締めていただかなければ。 「枢機卿」 「あん?」 「今こそ皆に喝を入れられる時ではありませんか。民を何より大切に考えているマザリーニ枢機卿であれば……」 「おいおい……何を言うとるのかねワルド子爵。わしが一番大切なのはコレじゃよコレ」 人差し指と親指を丸めて作ったそのハンドサインはどう見てもマネーです。本当にありがとうございました。 マザリーニ枢機卿のあんなに福福しい笑みは初めて見たが見たくなかった……! 「私はこちらの方が大切ですなぁ」 モット伯のハンドサインは人差し指と中指の間に親指を……ってそれはまずい! 自重しろモット伯! 「お二人とも何を言っておられる!」 おおっ、リッシュモン殿! さすがは法に生きる高潔の人! 「わしは両方大好きですぞ」 ああ……帰れ。 「賄賂で懐を温かめ、その金で女を買い、気が向けば平民どもを虐殺してやる……たまりませんな」 うわ……アニエスの姉さんがむっちゃこっち睨んでる。こ、こェェェ……! 「レコン・キスタが侵攻してきたあかつきにはアンリエッタも女にしてやろうと画策しております。ぐふふ」 ぶっちゃけ過ぎです。それに今の王女を見る限り女にされる余地があるとは思えません。 「これで面倒な仕事さえなければ貴族ほどいいものはないんだが。困ったものだ」 あんたが困ったものだよ! もう貴族やめていいよ! 「法院とか考えたやつマジで死ね」 何言ってんの!? いやホント何言ってんの!? 「国庫考えたやつも死ね。管理すんの面倒なんだよ」 財務卿……トリステインの財政が火の車って噂は本当なんですね。 「皆様、一つよろしいでしょうか」 むむっ。あれは僕のかわいい婚約者、愛しのルイズじゃないか。 「露悪合戦になってきたようなので、せっかくだから自分の秘密を告白したい……」 ええっ!? そ、そんな! ルイズの秘密だなんて聞きたいけど聞きたくないぞ! 「……と、わたしの使い魔が申しているのですが」 あ、使い魔か。なーんだ。ワルドがっかり。 「私は今日告白したいことがあってここへ来ました……」 ルイズの隣でうつむいていた使い魔が立ち上がった。 見た目は禿げたしょぼいおっさん、そして卑屈な所作。だがそれに見合わぬ強力な魔法の使い手だ。 そんな彼がいったい何を告白するというんだ? ちょっと楽しみになってきたぞ。 「実は……私はメイジでも何でもないんです」 ええええ!? いやいや、あんたアルビオンで散々魔法使ってたし。俺もそれ見てたし。 あんまり強力な魔法使うから怖くてウェールズ殺せなかったのも今となってはいい思い出だ。 そのせいでクロムウェルからものすごく怒られた。 「私が今まで使ってきた魔法は、魔法じゃなくて超能力だったんです」 は? 「ファイアボールは発火能力で……風の遍在は念動力で超高速移動して分身していました」 す……すごい! そういえばあんたの遍在、音がうるさくて妙だと思ってたよ! 「回復魔法は、傷ついたオリジナルを消滅させてから全く同じコピーを作ってました」 怖えぇ――っ! 普通に殺人じゃねえか! 「あと錬金はどっかにあるお金持ちの金や剣を瞬間移動させてました」 どっかにいるお金持ちがかわいそう! 「し、しかし使い魔殿。そんなことができるのならわざわざメイジのふりなどしなくとも……」 「そんな! とんでもない! そんなことをしたら官吏に掴まって研究所で解剖されてしまいます」 「いやアンリエッタ姫殿下はそんな方じゃ……」 横目でチラっと見る。当のアンリエッタ様はおっさん使い魔の言うことなど耳に入らないらしく、倒れたゲルマニア皇帝を踏みつけながら鼻の穴に小指を突っ込みリズミカルに動かしていた。 「……ないと思う……思いたいんだが……」 「ほほう。本当にメイジではないというのなら証拠を見せてもらおうか。できなければかわいいメイドを連れて私の屋敷に来い」 モット伯、前後のつながりが分かりません。 「では何をしましょうか……うーん。あ、そうだ。思い切って……レコン・キスタの軍勢を吹き飛ばしてみましょうか」 「ええ!? あんたそんなことできるの!?」 おーい、主人が誰よりも驚いてるぞー。 「いやムリとは思いますけどせっかくだからやってみます」 せっかくだからっておい。 「え……まさか本当にできたりはせんだろうな」 「ま、まさかとは思うけどあんまり本気出さなくていいですよ」 「そうそうトリステインは滅ぶ運命なんだよきっと……」 ダメな人たち、隠していたダメッぷりをあらわにした人たちが慌てている。お前らなんのために軍議やってたと思ってるんだ。 ルイズの使い魔は腕を曲げ、腰を曲げ、それらを思い切り伸ばすと同時に 「えいえーい!」 金切り声で叫び倒した。なんて間抜けな掛け声だ。白眼むいてるけど、大丈夫かあれ。 「あ……成功しました」 えええええ!? 今ので!? 「どういうことだこれは!」 「嘘だよな!? 嘘なんだよな!? 嘘だと言ってくれ!」 「誰か! 誰か確かめてこい!」 「ちょ、ちょっと確認してみます! しばらくお待ちください!」 偉い人たちの命を受け、アニエス殿が使いを出してから数分後。 「えー確認がとれました。レコン・キスタ全軍は竜巻に巻き込まれ彼方に吹き飛ばされていったそうです」 そんなのありかよ……。 「目撃者によりますれば『死ぬ~!』と叫びながら飛ばされていったとか」 レコン・キスタ、意外にノリが軽いんだな……。 「ええと……トリステインは救われたということで……この軍議どうしましょうか」 どうするも何も……どうするんだ? 気まずい空気が立ち込める中、枢機卿が立ち上がった。懐から紙の束を取り出し、すでにやさぐれることを止めていた王女に差し出す。 「御目を通していただかなければならない書類です」 「……これは?」 「こたびの戦での、戦死者の名簿です。貴族、平民、将軍仕官、兵隊……、貴賎を問わず、わかる限りの全ての名前が記されております」 うわ、何か小芝居始まってる。 「おおお……」 泣き崩れるアンリエッタ様。あなたさっき兵士達のことゴミ虫どもとか言ってましたよね? 「お忘れめさるな。ここに書かれた名前の数だけ正と義があったことを。ここに書かれた名前の数だけ、守らなければならないものがあったことを」 そういう枢機卿は金が一番とか言ってませんでしたか? 「覚えていらっしゃらないと存じますが、アンリエッタ様がお生まれになったときの先王両陛下のお喜びといったら! おそれながら、その小さなお体を抱き上げ、あやす光栄に浴したことも、一度や二度ではありませぬ」 リッシュモン殿は何を言っても引き返せない気がします。 「先ほどの言葉とて、祖国を思えばこその苦言でございます」 あんな苦言どこの世界探したって存在しねえよ! 「きゃああああ! 皇帝陛下、なぜそのように破廉恥な格好を! お召し物はどうされたのです!?」 いや、さっきまで平然と踏み倒してましたよね? それどころか蹴り潰してましたよね? 「ち、違う……これは誤解だ」 そんな誤解はないだろ。 「これはあくまでもゲルマニア流の外交術だ」 あんたいつか自国の国民から刺されるぞ。 「ううっ……もうお終いだ。研究所に連行されて解剖されてしまう……標本にされる……」 いやいやいやいやいや、君救国の大英雄だから。爵位の二つや三つじゃ足りないから。 「こおのハゲ犬! 主人であるわたしにまで隠し事するってどういうことよ!」 ルイズ、ここは怒るべき場面ではないんじゃないか? 「で、でも……ちょっとだけ見直してやったんだからね!」 おおおお、ツンツンしていると思いきやデレデレに移行! さすがは僕の婚約者、ナイスコンビネーションだ! 「……皆様お疲れ様でした。とりあえず本日はこれで解散の運びとさせていただきます……」 アニエス殿もお疲れ様でした。今日一番大変だったのはあなただったと思うよ。本当に。 ああ……場の空気に流された挙句、レコン・キスタについてたことをバラさなくて本当に良かった……。
https://w.atwiki.jp/retrogamewiki/pages/4745.html
今日 - 合計 - ジャイロセットの攻略ページ 目次 基本情報 [部分編集] ストーリー [部分編集] 攻略情報 [部分編集] Tips [部分編集] プチ情報 [部分編集] 関連動画 [部分編集] 参考文献、参考サイト [部分編集] 感想・レビュー 基本情報 [部分編集] ストーリー [部分編集] 攻略情報 [部分編集] Tips [部分編集] プチ情報 [部分編集] 関連動画 [部分編集] 参考文献、参考サイト [部分編集] 感想・レビュー 名前 コメント 選択肢 投票 役に立った (0) 2012年10月09日 (火) 15時43分40秒 [部分編集] ページごとのメニューの編集はこちらの部分編集から行ってください [部分編集] 編集に関して
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4496.html
前ページ次ページゼロの使い魔~我は魔を断つ双剣なり~ トリステイン上空、そこに彼の女は在った。浅黒い肌をメイド服に包み、ホワイトブリムを 指先で捏ね繰り回し、哂う。 その女――ニアーラは、人が認識し得るあらゆる三次元的角度から逸脱した怪奇なる角度にて 空中に佇んでいた。認識できないという事は存在しない事と同義、其処に女がいようとも、 誰もその姿を認知することは叶わない。 「――私がお譲りしました魔導書、どうやら気に入ってくださったようで」 眼下で繰り広げられる醜悪なる儀式を双眸に収め、ニアーラは嗤った。それはただの笑みで しかないはず、だが、全てを嘲笑う響きがあった。 彼女は見守る、侵され、冒され、犯され、然る後ファウストとの契約を果たす女の姿を、 彼女は曠野の眼に収め見守る。 その瞳にあるのは愛、しかしながらそれは、人の言葉で形容できるあらゆる言葉を以てしても 表現することの不可能な純然たる邪悪。 「まあ、少しばかり強引ではありますが、こうでもしないと貴女様が相手をするであろう 彼らには些か力不足ですからねぇ」 詠うようにニアーラは言葉を紡ぐ。そこには楽しげな響きがある、そこには同時に全てを 嘲笑する響きがある。 「もっとも、あたしとしても無理矢理って言うのは性分ではありませんから。貴女様が 望みさえしなければ、何もするつもりはなかったのですよ、ええ、何にも。 ――ですがねぇ、貴女様は望んだしまったのですよ、マチルダ・オブ・サウスゴータ」 きゅうっと唇を吊り上げ笑む。それは人間離れした奇怪な笑み。 「大いなる力、果たし得ぬ目的、己でそう断じたからこそ求めた、人には到底手の余る力。 直接手出しは出来ないけれども、誰かが力を望むのならばあたしにゃ与える事が できるのですよ。ええ、まさしく必然が結ぶ縁というやつですよ」 その瞳に映るのは描線が模るヒトガタ、今も尚フーケを冒し続ける陵辱者。鮮血の様に 真っ赤な舌がぷっくらとした唇を舐める。 「あたしゃ弱い者の味方なんですマチルダ様。可哀想な人間をほうっておけないんです。 ですから、あたしゃ貴女に『それ』をお譲りした。今の貴女に相応しい書をね」 無貌に笑みが浮かんだ。それは愉悦とも恍惚ともとれる表情。だが、それは同時に嘲笑も 浮かべていた。 そして眼下、描線のヒトガタと絡むフーケに変化が起きる。 「は……ぁぁ……ぁああぁ……んっ、ぁぁぁああ……!」 耳を奏でる淫靡な喘ぎ、それと共にフーケの身体に描線のヒトガタが解けていく。 口腔を犯していた舌が潰れ、液状化した頭部と一緒に喉の奥へと嚥下されていく。 絡めあった指が解け、フーケの手へと絡まり、皮膚の中に染んでいく。 はだけられた乳房を押し潰していた胸板はそのまま肉の中へ沈み込んでいく。 太腿を押し分けて入り込んだ下腹部は胎内へと還る。 肉の境目は解け、意識の継ぎ目は解け、弐が壱に、ヒトガタの智識とフーケの意識が 同一化する。 「ふふっ――――首尾は上々、といったところですか」 ニアーラは笑む。その曠野の瞳に宿るのは生誕の祝福、嘲りの呪い。 薄汚れた路地裏に横たわるフーケにそれを注ぐ。 見えざる女の視線に見守られ、フーケが立ち上がる。それは生まれたばかりの小鹿のように 拙く、震えた足取りはおぼつかない。 虚ろな瞳を空に縫いつけたまま、フーケは立ち上がる。それは糸で括り付けられた人形の ように、生命を感じない挙動。 「――ぁは」 掠れた笑い声が路地裏を打った。魔導書のなした技か、もしくはニアーラの差し金か、 不気味なまでに静まり返った其処にフーケの笑い声は響く。 「――あは、は。あははっ……はは、ははははははっ!」 手を顔で押さえ、フーケは笑い声をあげる。掠れていた笑い声は次第にクリアになり、 狂ったものになる。 「あははははははははっ! アハハハハハハハハ、ハハハハハハハハハッ!」 その笑い声には全てを怨むような凄惨な響きがあった。泣いているようでもあった。 苦しんでいるようでもあった。底冷えのする憎悪もあった。 だが、顔の隙間から覗くその瞳に在るのは狂気。 「――――」 ピタリ、と笑い声がやむ。『フーケ』は顔を押さえていた手を静かに路地の壁へと 押し付け、微かに開いた唇が何かを紡いだ。 同時、左手にいつの間にか握られていた書が闇色に輝き、置かれた手を中心に無色の波紋が 広がる。 「おやおや、節操のないことで」 その意を知ってかニアーラは肩をすくめ、呆れたように首を振る。 そしてこの場から去るフーケを見送りつつ双眸が路地裏の遥か先、歓楽街へと向かった。 其処にいるであろう一人の騎士と、彼を探す一人の少女を見止める。 「ですが、まあ、良いですさね。あたしゃ、見るものが見れりゃ良いんですから。 さあさあ頑張ってくださいな愛しの騎士殿、虚無の使い手殿。 物語の主人公らしく勇ましく戦ってくださいましな……あはは、ははははは!」 異次元の角度に立ち、ニアーラは哄笑する。嘲笑する。 そして、一陣の風が吹き、ニアーラの姿は闇の粒になって掻き消えた。 「アハハハハハ! ハハハハハハハ、あはははははははははhAHAHAHAHA!」 トリステイン上空、哄笑は尚も響き続ける。 * 「まったく……なんであたしがアンタ達と会わなきゃなんないのよ……」 「それは私の言葉よミス・ヴァリエール。っていうか、何で貴女まで来てるの?」 「それは……あ、アンタには別に関係ないでしょ!」 「きゅいきゅい、喧嘩はいけないのね。なかよしが一番なのね――あいたっ!」 「黙ってて」 タバサの杖で脳天を一撃され悶絶するシルフィード。それを尻目に、タバサは前方で やかましく騒ぐキュルケとルイズを追う、ややへっぴり腰で。 本来ならばシルフィードに乗ってひとッ飛びだったはずだが、今現在シルフィードは こうして人の姿な訳であるからして背中に乗せる事なぞ不可なわけで。 「馬は当分いい……」 久々の乗馬で痛む腰を庇いつつ、タバサは大きな溜息をついた。 「はっはーん、昨日私にダーリンを寝取られそうになったのが心配になったのね?」 「誰がっ! アレは私の使い魔なの、つまりは私の所有物なの。それがあの使い魔ったら 所構わず盛ってんだから鎖で繋いどかなきゃ危ないの。だからなの!」 そんなタバサの様子にも気づくことなく騒ぐルイズとキュルケ。丁度街の外の駅で かち合ってからずっとこの調子である。もとより家同士が犬猿の仲、騒ぐ種には困らない。 もっとも、キュルケの方はルイズをからかうのが楽しいからやってるようではあったが。 「へぇ? その割には思い切り部屋から追い出してたじゃない、お得意の『失敗』魔法で」 「う、う、ううう、うっさい! あれはオシオキなの! 悪いことした罰なの! 駄目使い魔にはあれで充分なの!」 「ああ、可哀想なヴァリエール。自分の使い魔といえども彼はれっきとした殿方なのに。 それをただの使い魔扱いだなんてやっぱりトリステインの女って駄目駄目なのねぇ」 憐れみの目で自分より一つぶん背の小さいルイズを見下ろすキュルケ。いろんな部分で 勝者なキュルケの言葉はルイズに実に良く効く。 だが、ルイズもそれで黙る性質ではない。 「ふ、ふん! 使い魔、そう、人じゃなくて使い魔。そんなものにまで手を出そうとする ゲルマニア女には言われたくないわ。まったく呆れてものも言えないわよね、ほんっと!」 「あら、それって皮肉のつもりなのヴァリエール? だとしたらボキャブラリィがてんで 足りてないわ。もう少し頭を使った方がよくなくて?」 「あんですってぇ!」 顔を真っ赤にするルイズにキュルケは続ける。 「あらあら、私『微熱』の二つ名を持ちますけどヴァリエールのようなお子ちゃまの癇癪 のお熱は私にもお手上げですわ。おまけに使い魔と視覚も共有できないみたいだし ああ、ほんっとゼロのルイズは駄目駄目だわ」 「ッッ~~~~!」 それがルイズの我慢の限界だった。口端をひくひく震わせ、唇を噛み締め、眉をぎゅっと 吊り上げ、それでも美少女らしさを失わない憤怒相でキュルケの顔を指差した。 「い、いい、い言ってくれるじゃないのツェプルストーッッ! い、良いわ! もう限界! こここっ、こ、こうなったら勝負よ勝負ッッ!」 「へぇ……」 怒りに震える声にキュルケは勝ち誇った笑みを浮かべる。 「良いのヴァリエール? 貴女、使い魔との視覚の共有も何にも出来てないんでしょ?」 「うっ……」 どうしてそれを、といった顔でたじろぐルイズにキュルケがにんまりと意地の悪い小悪魔的な 笑みを浮かべた。 「そうでなきゃとっくの昔にダーリンに会えてるはずだものね。なおに、こうしてあっちを 行ったりこっちを行ったりしてるんだから嫌でも気づくわよ」 ぐうの音も出ない解答に悔しそうに顔を歪めるルイズだが、そこは負けず嫌いだけは 人一倍の彼女である。すぐに顔を上げ、可愛らしい大きな瞳に怒りを宿らせて見返した。 「だ、だからって私が負けるとは限らない! そうやって鼻高々でいられるのも今のうちよ ツェプルストー。ギャフンって言わせてあげる!」 「じゃあ、良いわ。受けてあげる。もちろん、勝ったらダーリンは好きにさせてもらうわよ?」 「できるものならやってみなさいよ。私は絶対負けないから!」 それだけ言い捨てると、顔を真っ赤にしてルイズは三人とは別の方向へと走り去ってしまった。 その後姿を眺めるキュルケの瞳が生き生きと輝いているのをタバサは見逃さなかった。 「さて、こうなったら私も負けていられないわね」 勝負事となれば負けていられない。キュルケは探し人である九朔を求めそこらの店を片っ端 から探していく。 「やっぱ見つからないわねぇ」 が、そんなものでは勿論見つかるわけがない。今日は虚無の曜日、此処が城下町である事も 加えて人手は生半可ではない。探し人をこの中から探すのは至難の業である。 それは恐らくルイズも気づいている事だろう。 がしかし、そこは恋の狩人を自称するキュルケである、朝一番に馬に乗って九朔と外に 行ったギーシュを見かけているので自ずと答えも見えていた。 「ブルドンネ街にいないなら……そうねぇ、あのギーシュのことだし女の子目当てね。 女の子目当てだとしたら、あれだわ、あれ。最近流行ってる居酒屋で確かチクトンネ街に 在ったって話してたんだけど……えっと………」 「『魅惑の妖精亭』」 ううむと人差し指を額に当てて唸るキュルケに助け舟を出すようにタバサの抑揚のない声が 差し込まれた。腰の痛みから解放されたのか横からその姿が現れる。 「ああ、それそれ。っていうか、そんな店良く知ってたわねタバサ」 答える代わりにタバサは本を取り出し、目を前方に固定したままキュルケの眼の前に 差し出す。 「えっーとなになに……『トリステインの名物巡り~これでアナタも玄人だ編~』」 その手に握られている本の題名を読み上げるキュルケ。読み終え、やや逡巡してから 微妙な目つきでタバサを見つめた。 「おもしろいの、これ?」 「息抜きには」 「そうなの」 答える代わりにキュルケの方を向きこくりとタバサは頷いた。 「じゃ、当面の目的地は此処。ああ、でも此処に行くのは後でにしましょ。ヴァリエール 一人じゃどうせ此処にたどり着くのはまだまだ時間がかかるでしょうし、他の居酒屋も 見といて損じゃないしね……って、な、なに? タバサ?」 タバサが優しげな表情――といっても傍から見れば無表情だが――で見上げているのに 驚きキュルケは声をかけた。 「何でもない」 「何でもないって……それは何でもない表情じゃないわタバサ」 「気にしない」 「気にするわよ――」 と、そこで言葉を続けようとして、止めた。これ以上続けても恐らく同じことを繰り返すだけ になると理解していた。伊達に友達づきあいは長くない。 「って、もういいわ。ああそう。時間もある事だし早いけどお昼にしましょうか」 と提案をしたのは良かった。が、それがタバサにとっては不味かった。 「やったー! ごはんだごはん! シルフィおなかいっぱいたべる! お肉いっぱい! るるーる…………る、る」 万歳と手を上げて騒いだところでハっとなりシルフィードは硬直した。その視線の先には タバサの冷たい瞳とキュルケの驚きに満ちた表情。 「なん……ですって……!?」 そのキュルケの声にタバサは無表情で諦めの溜息をついた。それはやはりキュルケにしか 気づかれない程度の変化で仕方なかったが。 「もしかして貴女…………シルフィード?」 「い、いえすあいあむ」 トリステインの中心で、竜は自分の名を答えた。 どっとはらい。 前ページ次ページゼロの使い魔~我は魔を断つ双剣なり~
https://w.atwiki.jp/hdlwiki/pages/95.html
ゼロの使い魔 小悪魔と春風の協奏曲(通常版) 【メーカー】マーベラスインタラクティブ 【発売日】2007/2/15 動作報告 HDL0.8b SCPH-55000 クリアまで確認。 商品の説明 ヤマグチノボルの同名原作小説がゲームに。美少女魔法使いルイズに仕える使い魔サイトとなって、難題を乗り越えていく"ツン・デレ" アドベンチャーゲーム。プレイヤーの選択、ストーリー展開によって、ルイズのパラメータが変動し、"ツン"、"デレ"イベントが発生する。 また、ルイズの目をかいくぐり、ほかの女性との恋を進めることも可能。ストーリーは、ヤマグチノボル監修のオリジナルストーリー。
https://w.atwiki.jp/itan_seihaisensou/pages/292.html
キャラシート(マスター用) 【名前】ジャイロ・ツェペリ 【サーヴァント】 【性別】男 【性格】面倒見が良く、大胆かつ繊細だが、非常にコミカルな一面も。 【出典】ジョジョの奇妙な冒険 (第7部 スティール・ボール・ラン) 【属性】中庸/秩序 【ステータス】 筋力 耐久 敏捷 魔力 幸運 供給 TOTAL 【詳細】 某王国の死刑執行人の家系であるツェペリ家の長男として誕生。「ニョホ」「ニョホホ」と笑う癖がある。 抜けていそうに見えるが、さり気なく医療技術を持っていて、手術などもできたりする(ツェペリ家は表の顔として医者を家業にして代々受け継いでおり、ジャイロ自身も医者としての修行を積んでいる)。 また、自分の中に確固たる倫理観を持って行動しており、明確な殺意を持って襲ってくる相手には殺傷も辞さないが、自分の側から殺意を持って他者を攻撃する事は避けている。 代々受け継がれる『回転』の技術を例に漏れず受け継いでいる。 『鉄球』 肉体を動かさずに鉄球を回転させ、その振動波によって様々な効果を引き起こさせる技術(エコーで物体の位置を見分ける等)。 自然界に存在する「黄金長方形」を見て「黄金の回転」を加える事によって真の力を発揮する。 『技術 ボール・ブレイカー』 ツェペリ一族が開発した技術をジャイロが復刻させた技。自身だけでなく乗馬の力を加える事で次元の壁をも越える強力な回転エネルギーを生み出すことができる。 その無限の回転エネルギーは他のスタンドと同様に形を持つが、あくまでスタンド能力ではない。人間の技術がもっともスタンドに近づいた姿といわれる。 時間干渉にも似た力を持つらしい。
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/274.html
一部 ~ファントム ブラッド~ ジョナサン使い魔波紋疾走 ジョジョとサイトの奇妙な冒険 ジョージ逆に考える使い魔 石仮面仮面のルイズ ブラフォード使い魔は勇者 ディオ・ブランドーおれは使い魔になるぞジョジョー! 二部 ~戦闘潮流~ ジョセフジョセフ 忘れえぬ未来への遺産 カーズ究極の使い魔 ゼロの究極生命体 シュトロハイムハルケギニアのドイツ軍人 シーザー割れないシャボンとめげないメイジ 使い魔の魂~誇り高き一族~ ワムウ風の使い魔 風と虚無の使い魔 ストレイツォストレイツォ 三部 ~スターダスト クルセイダース~ DIODIOが使い魔!? 承太郎スターダストファミリアー スターダストは砕けない ゼロサーヴァント・クルセイダーズ ンドゥール見えない使い魔 ペット・ショップゼロの番鳥 花京院法皇は使い魔 ゼロのパーティ メロンの使い魔 ヴァニラ亜空の使い魔 ホル・ホース使い魔は皇帝 エンペラー 銃は杖よりも強し ダービー兄ファミリア―・ザ・ギャンブラー ジョセフゼロと奇妙な隠者 アヴドゥルマジシャンズ・ゼロ ポルナレフポルポル・ザ・ファミリアー イギー愚者(ゼロ)の使い魔 ミドラー女教皇と青銅の魔術師 デーボはたらくあくま エンヤ婆エンヤ婆 アヌビス神アヌビス神・妖刀流舞 ボインゴボインゴ ハーミット・パープルゼロの茨 四部 ~ダイヤモンドは砕けない~ 仗助砕けない使い魔 L・I・A 露伴露伴 静つかいまがとおるっ! 露伴 ブチャラティ味も見ておく使い魔 露伴+静使い魔は天国への扉を静かに開く 吉良使い魔は静かに暮らしたい ※デッドマンズQの吉良吉影 康一アンリエッタ+康一 ACTの使い魔 S.H.I.Tな使い魔 スーパー・フライ『鉄塔』の使い魔 虹村形兆几帳面な使い魔 キラー・クイーン爆炎の使い魔 猫草使い魔はゼロのメイジが好き ねことダメなまほうつかい 間田ゼロの奇妙な使い魔(うわっ面) うわっ面の使い魔 億泰アホの使い魔 ミキタカ使い魔ファイト トニオお嬢様の恋人 シンデレラ使い魔は灰かぶり 蓮見琢馬(The Book)ゼロと使い魔の書 五部 ~黄金の風~ ジョルノ杖をとりかえしにいこう! 僕の夢は三色コロネッ! 黄金の使い魔 ポルナレフ白銀と亀な使い魔 ココ・ジャンボ(亀)も登場 チャリオッツ・レクイエム使い魔の鎮魂歌 ジョルノ+ポルナレフジョルノ+ポルナレフ ディアボロ絶頂の使い魔 ディアボロの大冒険Ⅱ 不死の使い魔 ディアボロの大冒険タバサの大冒険 ブチャラティslave sleep~使い魔が来る アバッキオサーヴァント・ブルース 繰り返す使い魔 サーヴァントムーディー ゼロの奇妙な道連れ アバッキオ ナランチャサーヴァント・スミス ナランチャ・アバッキオ・ブチャラティナランチャ・アバ・ブチャ プロシュートゼロの兄貴 偉大なる使い魔 リゾットゼロと奇妙な鉄の使い魔 ローリング・ストーン(ズ)凶~運命の使い魔~ ギアッチョサブ・ゼロの使い魔 メローネゼロの変態 ソルベホルマリン漬けの使い魔 ペッシペッシ ルイズ姉ェの栄光への道 ホルマジオ本気男 フーゴ紫霞(しか)の使い魔 スクアーロ鮫技男と桃髪女 トリッシュ一味違う使い魔 使い魔は刺激的 暗殺チームルイズと愉快な暗殺者たち ブラック・サバス影の中の使い魔 パープルヘイズ グリーンデイパープルヘイズ&グリーンデイ ミスタゼロの臭い魔 セッコドロの使い魔 イルーゾォ使い魔は引き篭り サーレーCRAFT OF ZERO ゼロの技工士 六部 ~ストーン オーシャン~ 徐倫引力=LOVE? 星を見た使い魔 フー・ファイターズフー・ファイターズ、使い魔のことを呼ぶならそう呼べ アナスイアナスイ 承太郎DISC奇妙なルイズ ウェザーゼロの予報図 ヘビー・ゼロ ドラゴンズ・ドリームゼロの使い魔への道 エルメェスお熱い使い魔(キッス)を受け取りなッ! 使い魔の兄貴(姉貴)!! プッチ神父新世界の使い魔 狂信者は諦めない マンハッタン・トランスファー変な帽子みたいな使い魔 エンポリオ子供の使い魔 ティータイムは幽霊屋敷で ホワイトスネイクゼロのスネイク ゼロの奇妙な白蛇 DISCはゼロを駆り立てる C-MOONL7 meets C-MOON リキエル使い魔は空高く 七部 ~STEEL BALL RUN~ リンゴォゼロの世界 リンゴォ+才人+色々ギーシュの奇妙な決闘 マウンテン・ティム微熱のカウボーイ ジャイロStart Ball Run サンドマンサンドマン ジョニィ歩き出す使い魔 Dioスケアリー・サーヴァント マイク・Oマイク・O ファニー・ヴァレンタイン(大統領)D0C 八部 〜ジョジョリオン〜 バオー 来訪者 橋沢育郎ゼロの来訪者 バオー犬ゼロいぬっ!
https://w.atwiki.jp/kitkat3/pages/42.html
ジャイロボール 威力 25×相手の素早さ÷自分の素早さ+1 DMG25~150 属性:はがね 分類:物理 威力MAX時の相手との速度差 相ポケが自ポケの素早さの5.96倍以上 解説 つまり、足が遅いポケモンが有利になる技である。要は 足の遅さを補う為の技だ。使いこなせばとても強力。ただ しこの技はちゃんとポケモンをそれ仕様に育てないと威力 は中途半端になるので扱いは難しい。「高速移動」や「龍 の舞」などの相手の素早さうpまたは素早さダウンなどの 能力変化技を使ってくる相手や、自分の素早さを下げる 「鈍い」等の技と相性が良く、ハガネールやドータクン等 が高威力の発揮が期待できる。持ち物系は素早さを下げる 学習装置やパワー系、黒い鉄球等が有効と推測。なかなか クセが強いが可能性無限大の面白い技だと思う。 速度差計算式 25×相手の実際の素早さ÷自分の実際の素早さ+1=MAX150 25×相手の実際の素早さ÷自分の実際の素早さ=150-1 相手の実際の素早さ÷自分の実際の素早さ=149÷25 相手の実際の素早さ=5.96×自分の実際の素早さ
https://w.atwiki.jp/zerolibrary/pages/42.html
【種別】 マジックアイテム 【解説】 平賀才人が所持する片刃の長剣の名前。 自由意志を持ち、通称「インテリジェンスソード」と呼ばれる。 喋るときには鎬の部分についた金具がかたかたと鳴る。 インテリジェンスの名を持つ武具は別段珍しいわけではなくさほど価値が出るわけでもない。 そのため、格安で入手することが出来た。その金額はエキュー金貨百枚。 さびてボロボロの剣であったことも格安の理由だが、実は先代ガンダールヴが使っていた魔剣。 使い魔専用の剣だったとのことだが、デルフリンガー自身も遙か昔のことなのでよく覚えていない。